「待機児童」という言葉、最近はニュースで当たり前のように聞きますよね。少子化で子供の数は減ってきているのに、一向に認定保育園の数は増えず、働くママは子供を預けられない。
そんな状況に、思わずため息が出てしまうパパママも多いはず。ただ、あらかじめ準備をしておけば、認定保育園に入園できる可能性があります。
今回は、保育園の入園に欠かせない点数計算について、ご紹介します。
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保育園の点数計算とは?
認定保育園に入園するには?
認定保育園とは、国が定めた認定保育園基準をクリアしており、なおかつ自治体から正式に認定を受けた保育園のことです。
他にも、認証保育所(自治体独自の基準をクリアしていて、自治体が助成している認可外保育園)や、認可外保育園(民間企業や個人経営の保育園)があります。
まず、保育園や幼稚園、認定こども園を利用するためには、自治体から「支給認定」を受ける必要があります。
下記の表で認定区分をチェックしてみてください。あなたとお子さんが利用できる施設の種類がわかります。
1号認定 幼稚園 *2 ・ 認定こども園 2号認定 保育所 ・ 認定こども園 3号認定 保育所 ・ 認定こども園 ・ 地域型保育 *2 幼稚園には新制度に移行しない幼稚園もあります。その園を利用する場合は、認定を受ける必要はありません。
1. 保育を必要とする事由
次のいずれかに該当することが必要です。
(【】内は新たに加えられた事由)
- 就労(フルタイムのほか、【パートタイム、夜間、居宅内の労働など】)
- 妊娠、出産
- 保護者の疾病、障害
- 同居又は長期入院等している親族の介護・看護
- 災害復旧
- 【求職活動(起業準備を含む)】
- 【就学(職業訓練校等における職業訓練を含む)】
- 【虐待やDVのおそれがあること】
- 【育児休業取得中に、既に保育を利用している子どもがいて継続利用が必要であること】
- その他、上記に類する状態として市町村が認める場合
2. 保育の必要量
保育を必要とする事由や保護者の状況に応じ、次のいずれかに区分されます。
a 「保育標準時間」認定=最長11時間(フルタイム就労を想定した利用時間)
b 「保育短時間」認定=最長8時間(パートタイム就労を想定した利用時間)※保育を必要とする事由が就労の場合、「保育短時間」利用が可能となる保護者の就労時間の下限は、1ヶ月あたり48~64時間の範囲で、市町村が定めることとなります。
つまり、認定保育園に入園できるのは、2号認定または3号認定の支給認定を受けた家庭ということになります。
保育園、幼稚園、認定こども園についてはこちらの記事で詳しく説明しています↓
認定保育園に入園するための「点数」とは?
認定保育園の申し込みが受け入れできる数を上回った場合には、入園選考(利用調整)が行われます。選考の結果選ばれた家庭だけが、認定保育園を利用できるのです。
入園選考は、「選考指数(または利用指数)」と言われる点数をもとに行われます。指数の設定は自治体ごとに違いますので、書く自治体のホームページを確認しましょう。
選考指数は、一般的に「基準指数」と「調整指数」で構成されています。基準指数と調整指数を合わせた点数が高い家庭から、優先的に保育園に入園できるのです。
入園選考が行われるのは基本的に認定保育園と認定こども園のみです。認可外保育園については先着順で入園予約できるところがほとんどなので、早く動いていれば入れる可能性が高まります。
幼稚園の応募については、こちらの記事で詳しく説明しています↓
点数計算って自分でできるの?
計算方法を詳しく解説
各自治体によって選考指数の設定方法が違いますが、基本的には下記の通りに算出できます。
先行指数=基本指数(父)+基本指数(母)+調整指数
例として、世田谷区の選考指数を見てみましょう。今回は、「夫婦そろってフルタイムで共働き、なおかつ2人とも1年以上働いている」という条件にします。
フルタイムで共働き家庭の場合は、上記の「週5日以上勤務し、かつ、週40時間以上の就労を常勤(表の一番上の項目)」に当てはまるので、「利用基準指数」が50点となります。
先行指数=基本指数(父:50点)+基本指数(母:50点)+調整指数
残るは調整指数。こちらについても指標を見てみましょう。
先ほどの基準指数に加え、上記が当てはまる場合は調整指数が加点・減点されます。
例えば、先ほどの「夫婦そろってフルタイム勤務」に加え、「夫婦そろって就労実績が1年以上の場合(上記表の5番)」は、「調整基準指数」が2点×2人=4点加点となります。
先行指数=基本指数(父:50点)+基本指数(母:50点)+調整指数(父・母:4点)=104点
自治体によっては、ABC・・・といったようにランク付けをするところもあります。例えば、川崎市です。先ほどと同じ「夫婦そろってフルタイム勤務かつ、1年以上働いている」という条件で見てみましょう。
引用:川崎市「教育・保育施設及び地域型保育事業に係る利用調整基準」
川崎市の場合は、まず保護者の状況によってA~Hでランク分けされます。川崎市は待機児童が多いエリアなので、この段階で「ランクA」に入っていないと認定保育園に入れる可能性は低いでしょう。
今回は「夫婦そろってフルタイム勤務」という条件なので、「月実働140時間以上就労(上記表の一番上の項目)」、つまりランクAになります。
次に、調整指数についてチェックしてみましょう。川崎市の場合、調整指数は点数が付けられるようになっています。
「夫婦そろってフルタイム勤務かつ、1年以上働いている」場合、上記の「利用希望日時点で1年以上の就労実績がある場合」に当てはまりますので、「調整指数」は2点×2人=4点加点となります。
点数が同じ場合はどうなるの?
保育園が利用可能な月齢は各保育園によって異なりますが、0歳児クラスでは(入園する4月1日時点で)生後6ヶ月~受け入れ可能という保育園が比較的多いのが現状です。
ということは、前年の10月以降に生まれた赤ちゃんは、4月入園の対象外となります。生後6ヶ月未満の子供も預かってくれる保育園はありますが、なんせ受け入れ枠数が少ないので、生まれた月によって不利になってしまうことがあります。
点数を増やす方法はあるの?
最近では保育園の数が足りておらず、パパママ共にフルタイムで働いていても、認定保育園に入れないケース多がいのが実情です。
最近だと「点数を稼ぐために形だけの離婚をする」なんていう驚きのご家庭もあるくらいです。ですが、ここでは現実的な加点案を2つご紹介します。
認可外保育園に入園させる
一般的に認可外保育園へお子さんを通わせているご家庭には、調整指数の加点がつきます。4月から認定保育園に入園するために、前年の秋頃から認証保育園や認可外保育園に通わせて、加点を狙うというご家庭も多いようですよ。
ただし、ママがが日中働いていない場合は、認証保育園や認可外保育園に通わせても加点にならない自治体もあります。あらかじめ自治体の指標をチェックしておきましょう。
産休前に時短勤務を取らない
基準指数の中にある就労状況は、産休前の就労時間をもとに判断される場合が多いです。そのため、産休に入る前から時短勤務にしてしまうと、基準指数が低くなってしまうことがあります。
妊娠中は体調不良だったり、移動が辛いといった懸念もありますが、まずはフルタイム勤務のまま過ごせる解決法を勤務先と相談するのが良いでしょう。
保育園では「0歳児クラス」「1歳児クラス」と言ったように、年齢別でクラス分けされています。そして、一度入園した子供は、転園しない限りずっと同じ保育園で進級していきます。
なので、0歳児クラスは新学期になると定員数分の空きが出るのですが、1歳児クラスは0歳児クラスからの持ち上がりでほとんど空いていません。
つまり、0歳児から通っている子供の方が、1歳になって入園するよりも入りやすいのです。
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入園申し込みまでにすべきこと
すべきこと①入園申請のポイントを把握しておく
時短勤務する際も「定時」で申請する
お子さんが保育園に入園したら、時短勤務にしようと考えているママさんも多いはず。そうなると、保育園の申し込み用紙の「勤務時間」の欄に、自分の時短勤務時間か、会社の定時を書けば良いのかわかりませんよね。
自治体によっては、時短勤務でも定時の勤務時間での申請がOKなケースもあります。厚生労働省の定める短時間勤務制度(外部リンク)にて、子供が3歳までは時短勤務が認めらる一方で、勤務時間が短いと選考指数の点数が低くなってしまう事を配慮している自治体もあるのです。
時短でも「フルタイム」扱いになるチャンスなのに、知らないともったいないですよね。せっかくですから、入園申請をする前に自治体にチェックしておきましょう。
希望の保育園は、通える範囲で視野を広げて記載する
入園申込書には、希望する保育園を記入する欄があります。この欄には、通える範囲の園をピックアップして記入しましょう。せっかく内定をもらったのに、実は通えなくてあえなく辞退・・・となると、次に申請したときに選考で不利になる自治体もあるみたいですよ。
祖父母が保育できない理由をきちんと明確に記載する
自治体によっては、申込書に祖父母の状況を記載しなければならない場合もあります。住所や就労の情報だけで無く、同居している場合は就労の証明書が必要になることも。
また、同居していなくても近くに住んでいる場合は、「その祖父母が日中に保育できない理由」を明確に書いておかなければなりません。介護や病気で日中の保育が難しい場合は、医師の診断書などをコピーして添付すると良いでしょう。
すべきこと②認可外保育園も選んでおく
どんなに頑張っていても、100%受かるとは限りません。認定保育園に落ちたときのために、認可外保育園のリサーチもしっかりしておきましょう。
認定保育園と違って、認可外保育園は先着順で入園予約ができます。もし認定保育園に落ちてしまっても、認可外保育園を予約しておけば、もしもの時の滑り止めになります。
すべきこと③妊娠中から保活をはじめる
厚生労働省の「保活」に実態に関する調査(外部リンク)では、なんと15.5%の人が妊娠中に保活をしているのです。ちなみに、妊娠前に保活を始めた人も4.1%いらっしゃいます。
育児をしながらだとなかなか忙しくて保活に時間が取れないということで、妊娠中から保活をスタートしているご家庭も結構あるのです。
- 地域の認定保育園、認可外保育園をリサーチしておこう
- 条件に合う保育園を見学しておこう
- 入園を申し込もう
地域の保育園のリサーチはインターネットでもできますが、まずは一度自治体の窓口に足を運んでみましょう。その地域の認定保育園一覧表がもらえますし、ついでに選考指数や地域の認可外保育園についても聞いてみると良いでしょう。
通える範囲の園をピックアップしたら、実際に見学することをオススメします。見学予約は保育園に直接連絡をしないといけないうえに、見学時期も園によって様々。スケジュールを組むのは大変ですが、保育園選びには欠かせません。
そして何より大切なのが、入園申し込みのタイミングを逃さないこと。認定保育園の申し込みは一般的に10~12月頃に行われますが、自治体によって異なりますので事前チェックが必要です。
そして、認可外保育園に早い段階で入園予約をしておくことが大切です。妊娠中に認可外保育園もピックアップしておいて、いつから入園予約ができるか確認しておきましょう。
落ちてしまった時はどうすればいい?
認可外保育園に通わせる
認定保育園がダメだった場合は、事前に申し込んでおいた認可外保育園に入園できるか確認しましょう。認定保育園に入れる人たちが一気に入園予約を取り消しますので、入れる枠もガラッと空くはずです。
認可外保育園に通わせておいて、翌年改めて認定保育園にチャレンジするという手もあります。両親が働いている場合、認可外保育園に通わせていれば調整指数に加点されますので、初年度よりは有利になります。
こちらの記事もとても参考になりますよ。↓
二次募集に応募する
認定保育園に受かったけれど、転勤などでやむなく入園をキャンセルするご家庭もあります。また、保育士の増員で受け入れ枠が増え、二次募集という形で追加の入園募集がかかることもあります。
自治体からもお知らせしてくれますので、こちらも見逃さないようチェックしておきましょう。
まとめ
- 幼稚園や保育園、認定こども園に入園するには、自治体から「支給認定」を受ける必要がある
- 認定保育園の入園審査には、選考指数による点数審査が用いられる
- 選考指数=基本指数+調整指数で決まる
- 選考指数の計算基準については各自治体によって異なる
- 選考指数の計算基準については、各自治体の窓口やホームページからも確認できる
- 入園申請のポイントを把握し、早くから保活を始めよう
パパママと協力し合って、早いうちから子育てや働き方の方針について話し合っておくと良いでしょう。
世の中は思い通りにならないことばかり。ですが、もしもの時の対応策をきちんと考えておけば、焦る必要は無いのです。
しっかり事前準備をして、仕事も子育ても上手く乗り越えていきましょう。