みなさんはRSウイルスというウイルスを知っていますか?
あまり聞かない名前だと思いますが、実は2歳までにほぼ100%感染するといわれているウイルスです。
RSウイルス感染症とはどのような病気なのか、症状や治療方法をご紹介します!
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RSウイルス感染症とは?
RSウイルス感染症は、RSウイルスに感染することで発病する呼吸器の感染症です。RSウイルスは世界中に存在しており、感染するのは1度ではなく、何度も感染と発病を繰り返します。
生後1歳までに約半数が、2歳までにほぼ100%の乳幼児がRSウイルスに感染するといわれています。何度も感染しますが、初めて感染した時は重症化しやすいと言われており、特に生後数週間~数か月の間に感染した場合は、症状が重くなりやすいため、注意が必要です。
RSウイルス感染症の特徴
元々は冬に流行しやすい感染症なのですが、最近では7月ごろから流行し始める傾向があるので、夏ごろから注意が必要です。
感染してからの症状は、2~8日の潜伏期間を経て発熱、鼻汁といった風邪のような症状が数日~1週間程度続きますが、ほとんどの人はその後回復に向かいます。
ですが、3割の人は重症化するといわれており、重症化すると、気管支炎や肺炎、中耳炎を引き起こします。
症状として特に多いのが、気管支の細くなった部分の細気管支が炎症を起こす、細気管支炎です。
細気管支炎になると、もともと細い細気管支が、炎症によってさらに細くなり、呼吸がしずらくなり、顔や手足が青紫色になるチアノーゼ反応や、喘鳴(ぜんめい)(呼吸音がゼイゼイとなること)が起きます。
どうやって感染するの?大人も感染する??
感染経路は大きく分けて2つです。
- RSウイルスを持っている人の咳やくしゃみから感染する飛沫感染(ひまつかんせん)
- ウイルスがついている手や物(ドアノブや手すり、スイッチ、おもちゃなど)に触ったりなめたりする間接的な接触感染
普段何気なく触っているものにもウイルスが潜んでいます。また、子供はおもちゃをなめたり、おもちゃを触った手を口にいれたりするので、ウイルスに感染しやすいようです。
また、RSウイルスは乳幼児の病気というイメージがありますが、実は大人も感染し、発病する病気なのです。
症状は軽い風邪のようなものから重い肺炎のようなものまであるので、「あれ?風邪ひいたかな?」と思うような症状でも、実はRSウイルスに感染していた!というようなことも少なくはないのです。
ちなみに、風邪のような症状が出るウイルス感染症といえば、、インフルエンザが思い出されるのではないでしょうか?その「風邪」と「インフルエンザ」の違いはっきり認識してますか?
こちらの記事で解説してますので、ぜひ一緒に見ておきたいところですね。
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予防方法は?
では、子供も大人も感染しないようにするには、どうしたらいいのでしょうか?
感染を防ぐにはこのような方法があります。
- RSウイルス感染症の流行時期はもちろん、流行していない時期でも、マスクの使用を徹底する。
- 流行時期は人ごみの多い場所への外出は極力控える。
- 子供たちが日常的に触れるおもちゃや手すりなどはこまめに消毒し、手洗いうがいを心がける。
- そのため、鼻水や咳などの呼吸器症状がある場合はかならずマスクをする。
- また、そのような症状がある場合は、なるべく乳幼児に接触することは避ける。
赤ちゃんが感染してしまうのを予防するためには、パパやママが感染しないように徹底することが大切です。
また、保育所内で感染することも多いので、RSウイルスかも?と思う症状があれば、登園することはやめましょう。また、保育園の先生に、RSウイルスが流行していないかどうかを確認することが大切です。
予防接種はある?
実は、RSウイルスの予防接種は無いのが現状です。ですが、「パリビズマブ製剤」という筋肉注射により、症状をある程度緩和できるといわれています。
この製剤は、乳児に対して使われることが推奨されています。乳児は発症すると重症化するリスクが高いためです。
また、特にパリビズマブ製剤の投与が推奨されるのは、以下に該当する乳幼児です。
※保険が適用されます。
● 妊娠期間が28週以下の早産で、月齢12ヶ月以下の乳児
● 妊娠期間が29~35週の早産で、月齢6ヶ月以下の乳児
● 過去6ヶ月以内に気管支肺異形成症といった呼吸器疾患の治療を受けたことがあり、月齢24ヶ月以下の子ども
● 血行動態(心臓や血流)に異常があり先天性心疾患を持つ、月齢24ヶ月以下の子ども
● 月齢24ヶ月以下の免疫不全を伴う子ども
● 月齢24ヶ月以下のダウン症候群の子ども
RSウイルス流行初期から投与しはじめ、流行中も引き続き1ヶ月に1度、筋肉注射を行うことで、症状が重くなるのを抑える効果が期待できますよ。
感染してしまった時の対応方法
治療方法
RSウイルス感染症には特効薬やワクチンはありません。
もしかかってしまった場合、治療は基本的に対症療法(症状を和らげる治療)を行います。
軽症の場合は、咳止め薬や痰(たん)を出しやすくする薬を使ったり、高熱で食欲がなくなったり、水分がうまく取れなかったりした場合のために座薬などの解熱鎮痛剤が処方されたりします。
入院することがある?
ほとんどの場合軽症なので、自宅で症状が和らぐまで安静に過ごします。
ですが、重症化してしまった場合、入院するケースがあります。
特に、生後2か月~5か月の赤ちゃんは重症化になりやすいため、入院になる可能性が高くなります。
なんと、50%の確率でRSウイルスによって肺炎をおこすといわれており、細気管支炎の場合は50%~90%がRSウイルスが原因でおこるといわれています。
まとめ
- 2歳までにほぼ100%の乳幼児がRSウイルスに感染する
- ほとんどが軽症ですむが、3割程度の人が重症化し入院することがある。
- RSウイルスには予防接種などはなく、マスクの着用やこまめな手洗いうがいなどで予防する。
大人が感染しても風邪のような症状ですみますが、赤ちゃんに感染すると重症になってしまう可能性があります。
RSウイルスは家族から感染することが多いので、パパやママ、兄弟に風邪のような症状があるときは、別室で過ごすなど、赤ちゃんになるべく接触しないように過ごしましょう。
家族全員で赤ちゃんへの感染を防げるように心がけていきましょうね。
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