人間が生きていく上で必要な栄養素の1つの油(脂質)ですが、近年は外国産の油も輸入され、手軽に多くの種類の油を選べる世の中になりました。
今回はその中でも、古くから日本の食文化におなじみの菜種油に焦点を当て、授乳中のお母さんたちにも安心して摂ってもらえるようにお話していきます。
ぜひ今後、油を選ぶときの参考にしてみてくださいね。
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菜種油(なたねあぶら)って何からできているの?
菜種油の原料は?
いわゆる「菜の花」と言われているアブラナ科アブラナ属の植物の種を使っています。現在は主に菜の花という名称は、セイヨウアブラナの別名でも使われていますので、その種が原料になります。
その種を焙煎し、圧搾して搾りだしたものが菜種油として使用・販売されています。
昔は灯火、潤滑油など工業用の油として、搾りかすは肥料に使われ、日本では昔から幅広く利用されていました。
歴史上では、飛鳥時代から食用として利用されていた記述も残っているほど日本最古の油で、こう考えると遺伝子的にも一番日本人にあった油と言えるでしょう。
菜種油はサラダ油と違うの?
サラダ油というのは、料理用に使いやすく精製された植物油脂を指して言う名称です。
原材料は大豆・ひまわり・コーン・ベニバナ・米などの油が使用され、現在サラダ油の定義は、日本農林規格(JAS)によって正式に定められています。
サラダ油は、JAS規格を満たした原材料を使用し、さらにJASで認定された工場で作られた油でないと名乗ることは出来ません。
・菜種・大豆・とうもろこし・ひまわり・ぶどう・ゴマ・べにばな・綿実・米
特徴としては、名前の通りサラダを食べる時に使用することを想定し作られた油で、低温状態で使用しても固まらない性質をもっています。
菜種油も、原材料の点からサラダ油の一種と言うことが出来ます。また品種改良された菜種から作られたキャノーラ油も、サラダ油の一種と言えます。
多くの家庭で使われるサラダ油は、調合サラダ油といって菜種油と大豆油が混合した調合サラダ油と言われるものがほとんどです。
油は大きく分けて2種類ある
油は大きく分けると飽和脂肪酸(ほうわしぼうさん)と不飽和脂肪酸(ふほうわしぼうさん)の2つに分けることができます。
参考:仙台勝山館ココイルHP
さらに菜種油は、不飽和脂肪酸の中でも、一価不飽和脂肪酸(オメガ9系脂肪酸)と言われる脂肪酸に分類され、オリーブオイルや、アボカドオイル、アーモンドオイルなどもこの仲間になります。
オメガ9系脂肪酸は不飽和脂肪酸の中では酸化しにくく、熱に強い分類になるので、揚げ物や加熱料理に使用するのに向いています。
同じようにオメガ9系脂肪酸が多く含まれるオリーブオイルについての記事も、読んで参考にしてみてくださいね。
授乳中に菜種油は良いの?
菜種油は、授乳中でも特別に避けてなくてはいけない油ではありません。乳腺炎や母子ともに体調不良にならない適量をしっかり守れば、菜種油の有効な成分を感じることもできますよ。
菜種油の健康効果
■オレイン酸
オメガ9系脂肪酸のに含まれるオレイン酸は、悪玉コレステロールをやっつける役割があります。生活習慣病の予防にひと役買ってくれます。
また満腹中枢を刺激して食べ過ぎを防いだり、腸の働きを活発にしてくれるので、便秘の予防も期待できます。
引用:日清オイリオサイト
■αリノレン酸の含有量が多い
αリノレン酸はオメガ3系の必須脂肪酸で、脳を活性化させ、成人病(脳梗塞・心臓疾患)の予防、アレルギー疾患、アトピーの防止と人間にとって必要な働きをしてくれます。他にも血液をさらさらにして血圧を下げたり、うつを軽減させたりする働きももっています。
引用:西川農藝HP
こちらの棒グラフを見ても分かるように、菜種油は他の油とくらべてみても、推奨脂肪酸摂取構成のグラフとの比重が一番近いことが分かると思います。まさに理想の油と言ってもいいでしょう。
■ビタミンK※
母乳にも含まれるビタミンKは、骨や歯の健康維持に必要な要素で、骨にあるたんぱく質を活性化させてくれるので、骨の形成を促進することでも知られています。
さらに、血管の健康にも役立っており、血液を凝固させることで、止血のサポートをする役目があります。鼻血が出やすい人や内出血しやすい人は摂りたいビタミンです。
以上の健康効果から、授乳中で便秘になりやすいお母さんや、出産後の骨や歯の強度が心配なお母さんには必須の栄養素であると言えます。αリノレン酸による血液サラサラ効果も、乳腺炎を防ぐために良い効果をもたらしてくれるでしょう。
※ビタミンKは母体から母乳へ移行しにくいと言われていますので、ここではあくまでもお母さんの為のビタミンK摂取と考えておいてください。
どれくらい摂ればいいの?
厚生労働省が発表している日本人の食事摂取基準から、脂質の摂取量の適正範囲は、食事全体のエネルギーの20~30%と考えられています。
1日2000kcalだとすると50g 程度が適量だと判断されます。
ただこの50gの中には、見えない油(=肉についている脂身の部分や、既に食品に練りこまれて製造されているもの)も含まれていますので、目で見える油としては大さじ1を目安に摂取しましょう。
大さじ1(およそ12g)
食品に換算すると
- アーモンド 15粒
- ピーナッツ 30粒
- バター 200gブロックの1/16個
波型のフライパンを使ってお肉を焼くと、美味しそうな焼き目が付く上、脂も適度に落ちてくれるので一石二鳥ですよ。
授乳中に菜種油を摂る時の注意点3つ
菜種油は、授乳中のお母さんでも適量であれば摂取できるということが分かったと思いますが、実は菜種油だからこそ気を付けなければいけないデメリットもあるんです。
以下の注意点は、母体だけでなく母乳を飲む赤ちゃんにも影響があるのでぜひ読んでおいてほしいです。
①キャノーラ油には少し注意が必要
安価で手に入りやすい菜種油の一種のキャノーラ油ですが、こちらは授乳中に摂取を控えめにした方がいい油です。
キャノーラ油とは、セイヨウアブラナを品種改良して、人体に悪影響を及ぼすといわれる成分であるエルカ酸(エルシン酸とも言う)を含まないキャノーラ種から抽出されたものです。
がんや心臓疾患、また消化器系、肝臓などに悪影響を及ぼす可能性があるといわれている物質。
一般的に、エルカ酸は5%~8%ほどの含有率であれば問題ないとされている。
このエルカ酸が含まれていないという点では推奨できるキャノーラ油ですが、授乳中という立場からは、他にもっと心配になる物質があります。それは、キャノーラ油を作る時に発生するトランス脂肪酸の存在です。
トランス脂肪酸とは、植物油に水素添加したときに副産物として発生する人工の油の成分で、マーガリンやショートニングに多く含まれています。
トランス脂肪酸は、動脈硬化やがんを引き起こすなどの毒性が認められており、世界では摂取量を禁止及び制限している国もあります。
そしてこのトランス脂肪酸は母体に残留し、母乳から赤ちゃんが口にしてしまいます。
過剰なトランス脂肪酸の摂取は、その子の将来の慢性疾患の原因や肥満の原因などになってしまうので、授乳中のお母さんはトランス脂肪酸の含まれた食品類は、なるべく避けた方がいいでしょう。
安価でいつでも手に入って、味や匂いにもクセのないキャノーラ油なので使いやすく、よく使用してしまいますが、使用しない選択肢がある時には使わない。使用頻度を今までの半分にしてみる。など、ストレスのない範囲で減らしてみてください。
②遺伝子組み換えの油は避ける
菜種油の原料となる菜種ですが、日本の自給率はわずか0.04%程度。そのため、多くの菜種は輸入品に頼っています。
主な輸入国のカナダから輸入される菜種の90%以上が、遺伝子組み換え種子から作られています。なので、日本に輸入される菜種は、ほぼ遺伝子組み換えだと考えられます。
日本は菜種油に限らず、遺伝子組み換え作物だけの輸入量は管理していないため、どのくらい遺伝子組み換え菜種が輸入されているか分かっていない上、菜種油に関しては、ラベルへの表示義務もありません。
しかし、日本は遺伝子組み換え作物の栽培は認められておらず、輸入する場合も安全が確認されたものに限られています。
とはいえ、遺伝子組み換え技術を食品に導入してから年数も浅く、長年の期間での人体への被害は分かっていませんので、現段階では避けておいた方が賢明です。
③母親の摂った油によって母乳の脂肪酸率も変化する
国立保健医療科学院ホームページが所有する厚生労働省の研究結果によると、母体が摂取した油に含まれるオメガ3系脂肪酸・オメガ6系脂肪酸は、油を多く摂った母親の母乳はそのまま多く含まれる結果となったとあります。
オメガ9系脂肪酸とは違い、体内で合成ができないため、食べ物から摂る必要のある必須脂肪酸のこと。
αリノレン酸の部分で説明したように、オメガ3系の必須脂肪酸は体に良いことが多かったのに対し、オメガ6系脂肪酸のリノール酸は、適量だと血中コレステロールを減らしてくれる働きがあります。
しかし、摂りすぎると血管壁などに蓄積したコレステロールを回収して、善玉コレステロールまでも減らし、かえってコレステロールを増やしてしまう恐れがあります。
またリノール酸から合成されるアラキドン酸には、アレルギー症状を強める作用があることも確認されていますので、将来的にですが母乳を口にしたお子さんに、花粉症やアトピーとしてアレルギーを発症させる原因にもなってしまいます。
菜種油も油なので、このリノール酸が含まれています。さらに言うと、お米や大豆、小麦粉や凍り豆腐などにもリノール酸は含まれているので、普通の食事を摂れば充分に摂取できるものと考えられています。
お子さんの為にも、オメガ6系脂肪酸の摂取は適量にして、不足しがちなオメガ3系脂肪酸を意識して摂ることをおすすめします。
食品の中でもダントツでオメガ3系脂肪酸が多いクルミの記事もぜひ読んでみてくださいね。
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菜種油を安心して摂取するには?
ここまで読んできて、すっかり菜種油を使うことが怖くなってしまった人もいるかもしれませんね。
でも、下に書いてあることを気にしてくれれば、品質がよく安心して使える菜種油に出会うことができますよ。
①国内生産のみを使用する(低温圧搾)
値段は高くなってしまいますが、菜種油は日本で栽培された菜の花の種を使って、低温圧搾(あっさく)されて作られたものを選びましょう。
圧力をかけて押ししぼること。コールドプレスのこと。ワインやしょうゆなどもこの方法で作られている。最近はジューススタンドも、コールドプレスを売りにしているお店も。
安い菜種油は、外国からの輸入の種を使用し、高温や石油系の溶媒で抽出された油である場合が多く、原材料の栄養素や風味が抜き取られてしまっています。また、遺伝子組み換えを使用している場合も多いので、国内生産の菜種油が安心安全です。
添加物をなるべく使わないように企業努力しているパルシステムでは、とことん安全安心にこだわりぬいた菜種油を販売しています。製造過程も動画で見ることができますよ。
②プラスチック容器ではなく、茶色か緑の瓶に入ったものを選ぶ
油という性質上、酸化現象は避けられません。少しでも酸化を防ぐためにも遮光効果のある茶色か緑の瓶のものを選びましょう。
α-リノレン酸(オメガ3系脂肪酸)は熱と光により酸化しやすい脂肪酸で、菜種油にも含まれています。
透明な容器やプラスチック製のペットボトルで売られている菜種油は、一度に大量消費する揚げ物用油として使う分には良いですが、サラダドレッシングなどの生食用で菜種油の風味を少しずつ楽しみたい場合は、酸化が進みにくい瓶のものがおすすめです。
有機・無農薬栽培で低温圧縮の一番搾り。安心安全を極限まで追求した青森産の菜種油です。
③開封後はできるだけ早く使い切る
どんな油もそうですが、未開封の状態だと約1~2年保存できますが、開封後は1か月を目処に使い切るように心掛け、消費期限に限らず、最初に開封した時とは違う味や匂いを感じた場合は、惜しまずに処分するようにしましょう。
そのまま我慢して食べてしまうと、食中毒のような症状を起こし、非常に苦しい思いをすることになってしまいます。もちろん、そんな状態では良い母乳をあげることは出来ませんので、注意しましょう。
しかし、高い菜種油を買ったことだし、どうしても捨てるのがもったいない!と思う方は、ハンドメイドの材料やお掃除に使ってみてはいかがでしょうか?
◇手作り石鹸
劇薬の苛性ソーダは身分証明書がないと購入できないのですが、最近は混ぜるだけで簡単に出来る手作り石鹸の元も売っています。
◇キャンドル作り
紹介の動画は子供用の自由研究としてのものですが、大人はお好きな香りのアロマを入れて自分だけのお気に入りのアロマキャンドルを作ってみてくださいね。
◇掃除に使う
「油の汚れは油で落とす」ということで、油汚れの目立つ換気扇などを掃除が出来るように取り外し、たっぷりと塗りこんで数分置いた後、使い終わった歯ブラシを利用して油と汚れを馴染ませるようにゴシゴシ磨くときれいにすることができます。
また油跳ねをしたコンロには、コンロがまだ少し熱いうちに油を馴染ませたキッチンペーパーでふき取ると、キレイに落ちたりします。その際、ヤケドには充分気を付けてくださいね。
菜種油を使ったオススメレシピ
菜種油は、熱に強くクセもない油なのでお菓子作りに向いています。バターの代わりとして使っている方も多く、ここでは簡単に作れて、ボリュームのあるお菓子を紹介します。
菜種油を使えば、バターを溶かす手間も省けてラクチンですね。ぜひチャレンジしてみてください。
菜種油でヘルシー☆簡単バナナケーキ*
◎材料 18×6×4のパウンド型1個分
- 薄力粉 85g
- ベーキングパウダー 5g
- 甜菜糖 28g
- 菜種油 25g
- 卵Mサイズ 1個
- バナナ(完熟) 1本(約100g)
- レモン汁 小さじ1
- くるみ(乾煎り) 15g
詳しい作り方はコチラからどうぞ!
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まとめ
- 菜種油は授乳中でも適量を守れば、摂取しても大丈夫な食品
- 菜種油はそれぞれのオメガ脂肪酸の比重バランスも良い優秀な油
- 1日の摂取量の目安は大さじ1程度であるが、なるべく少なく使うように心掛ける
- 目に見える油と見えない油を意識して、1日の摂取量を上手にコントロールする
- 菜種油を選ぶときは、キャノーラ種ではなく、国産のものを選ぶようにする
- 安価すぎる菜種油は、遺伝子組み換えの可能性が高いので、非遺伝子組み換えのものを選ぶと良い
- 母親が口にした脂肪酸率はそのまま母乳に反映されるので、摂取量をきちんと守る
サラダ油でひとくくりにされがちな菜種油ですが、実はその中でも脂肪酸バランスNo.1で、クセがなく使いやすいとっても優等生な油です。
日本ではオリーブオイルの人気に押され気味で影が薄くなっている国産の菜種油ですが、ぜひ進んで使ってみてほしいと思います。
バランスのいい食事に良い油を上手に取りいれて、いつも笑顔で元気なお母さんでいましょうね!
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たまにはこういうのにも頼って、上手に育児していきましょう!
手を抜きたい時もある、でも食事には最低限こだわりたい、あなた向けです。
レンジでチンですぐ食べられる宅配食の他に、15分で作れるお料理キットもありますよ~。