寒いとき、暑いとき、季節の変わり目など体調を崩して風邪をひいてしまう事があります。その風邪が問題なく治れば良いのですが、まれに副鼻腔炎となって、熱や痛みなどの症状が出ることがあります。
授乳中のお母さんが副鼻腔炎になったときには、いつ病院に行ったら良いのか、薬は飲めるのかなど気になることがたくさんあると思います。
そんなお母さんに、この記事では副鼻腔炎は何なのか、授乳しても大丈夫なのか、受診するとしたら何科なのか、そして抑えておきたい5つのポイントを説明していきます。
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授乳中に副鼻腔炎で熱!
うーん、その顔を押される感じ、っていうのは副鼻腔炎じゃないかな。忙しかったみたいだから風邪こじらせちゃったかもね。
副鼻腔炎って何?
まず、副鼻腔について説明します。副鼻腔は左右4対の空洞です。
副鼻腔炎は、ウイルスによって風邪をひいた後に、体力が落ちた頃に細菌に感染して副鼻腔に炎症を起こすことです。発熱、副鼻腔のある額や目の下の辺りが中から押されるような痛み、下を向くと痛みが増す、ねばついた茶色や黄色の鼻水などが症状です。
風邪などのぶり返しで起こる急性副鼻腔炎と、症状が1ヶ月以上続く慢性副鼻腔炎に分けられます。
また、副鼻腔炎は膿が溜まる事から「蓄膿(ちくのう)症」と俗称(ぞくしょう)で呼ばれる事もあります。
副鼻腔炎になりやすい人っているの?
副鼻腔炎になりやすいのは、高齢者、肥満気味の人、喫煙歴のある人、喘息や慢性気管支炎の既往歴がある人といわれています。
特に喘息や慢性気管支炎の既往歴がある人は副鼻腔炎になる可能性が既往歴のない人に比べて2.7~3.8倍高くなると言われます。また、肥満気味の人は全身が炎症を起こしやすい体質になり、副鼻腔炎も例外ではありません。
副鼻腔炎でも授乳しても大丈夫?
副鼻腔炎でも授乳して大丈夫です。副鼻腔炎は、母乳を通じて赤ちゃんに移ることはありません。
副鼻腔炎では、副鼻腔に細菌感染が起こっているので、発熱であったり、頭痛、鼻の周辺に中から押されるような痛みや、先ほどの副鼻腔の図で「前頭洞(ぜんとうどう)」や「上顎洞(じょうがくどう)」にあたる部分をトントンと触ると痛みを感じたりします。
また、下を向くと痛みが増すので、授乳をしている時に赤ちゃんと目を合わせたりすると頭痛がします。その点で、人によっては授乳が辛く感じるかもしれません。
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受診するときは何科に行ったらいいの?
さて、症状で「副鼻腔炎かな」という時には何科を受診するのでしょうか。
一番関連している科は耳鼻科、もしくは耳鼻咽喉科(じびいんこうか)です。受診するときには、いつからどんな症状があるのかを医師に伝えましょう。
また、処方してもらう薬に希望があればきちんと伝えるようにしましょう。お薬については、後ほど詳しく説明していきます。
おさえておきたいポイント5つ
①お薬
授乳中に副鼻腔炎になって受診すると処方箋で抗生物質が処方されると思います。授乳に影響があるのではないか、と心配になるお母さんもいると思います。
医師に「授乳育児中で、できれば授乳を中止したくない」という事を伝える事が大切です。その上で、医師は処方をしますが、医師が「授乳を中止したほうがいい」と勧めてくる場合もあると思います。
その際には、どうしてその薬のほうが良いのか、授乳に影響の少ない薬はないのか、もし内服するなら授乳までにどのくらい時間をあけると良いのかなど質問をしましょう。
また、薬を受け取る際に、最近では薬剤師さんが飲み方などきちんと説明してくれます。その際にももし疑問があれば聞いてみるといいでしょう。
副鼻腔炎の痛みは副鼻腔に膿(うみ)や鼻水が溜まることにって起こります。授乳中にも内服できる痛み止めはありますが、溜まった膿や鼻水を出来るだけ出すようにしましょう。
そして、抗生剤を内服する上で、大事な事をお伝えします。
処方された抗生物質は、症状がなくなっても全部飲みきってください。
これには2つ理由があります。
1つ目は、症状がなくなったとしても、細菌が全ていなくなったわけではないからです。人間も一人ひとり体力が違うように、同じ菌でも薬に効きやすい菌もいれば、なかなか効きにくい菌もいるのです。
症状がなくなった頃には、まだ薬が効きにくい菌が生きていて、抗生物質を飲みきれば死滅するのに、中止してしまったことで復活し、菌が増えてしまい、また症状が出てきてしまう可能性があるからです。
2つ目に、中止した事によって生き延びた菌は、「耐性(たいせい)」を持ち、同じ薬で治療する事が難しくなってきます。そうすると、さらに強い抗生物質が必要となるためです。
国立育成医療研究センターでは 「授乳中にお薬を使うにあたって知っておいていただきたいこと」としてママのためのお薬情報を提供しています。
症状が無くなったら、「次に同じ症状になったときに使おう」って保管しようと思ってたわ。
②鼻をかむこと
副鼻腔炎になると、茶色~黄色の粘り気の強い鼻水が出ます。痛みや圧迫感はその粘り気のある鼻水が詰まることによって起こります。すすらないで、鼻をかんでしっかりと鼻水を出せば、顔に感じる圧迫感や痛みが軽くなります。
下記に耳鼻咽喉科医が勧める鼻のかみ方を引用します。
正しい鼻のかみ方
- 片方ずつかむ。
- 口をしっかり閉じてかむ。
- 適度の強さを持ってかむ。
- 十分空気を吸い込んでからかむ。
- 鼻汁を出し切るまで、繰り返しかむ。
- ななめ下を向いてかむ。(自然孔の位を考慮すると、左側をかむ時には右斜め下に首をねじり、 右をかむ時には左斜め下に首を ねじるという意見もあります)
何回もたくさん鼻をかむと鼻自体が痛くなることもあるので、軟らかいティッシュを使ってみてください。私は、このティッシュを「値段が高いな」と思いながらも使ってみたところ、鼻の下が乾燥しすぎなかったので感動しました。
③鼻洗浄
鼻洗浄、鼻うがいともいったりします。なかなか聞き慣れないかもしれないですが、手軽に家でも出来ます。
私も風邪をこじらせて、急性副鼻腔炎になりこのキットを使いました。鼻洗浄を医師から勧められた時に、小さい頃にプールやお風呂で遊んでいて、間違って鼻から水が入ったときのツーンとした痛みを思い出して、かなり抵抗がありました。
念のために行きつけの薬局で薬剤師さんに聞いたところ、思いのほかお勧めされました。
痛みを何とかしたい一心で、「ドクターも薬剤師さんもいいって言ってるものだから、きっと良いものなんだ」と言い聞かせて鼻洗浄しました。
全然痛くないです。そして、茶色や濃い黄色の鼻水がにゅるんと流れてきます。それが口から出てくるのがちょっと違和感があるのですが、つっかえていた物が取れてすごくスッキリします。
このキットでは、生理食塩水を作るようになっていて(作り方は書いてあります。必要なものはキットと体温程度のお湯です)、作った生理食塩水で鼻腔や副鼻腔を洗浄します。
興味がある方は是非試してみてください。
④慢性化を防ぎましょう
慢性副鼻腔炎では急性副鼻腔炎と比べて痛みはほとんどなく、違和感が持続します。症状は鼻づまり、鼻水、においがわかりにくくなる、体が疲れているといった、比較的全身に現れます。
こういった症状が1ヶ月以上続くようであれば、耳鼻科、耳鼻咽喉科を受診することをお勧めします。慢性副鼻腔炎が軽症でも治るまでに3ヶ月程度かかるので、抗生物質の内服など医師の指示を守って治療を続けましょう。
治療を中断などで悪化すると粘膜がはれてキノコ状になる「鼻タケ」と呼ばれるものが出来る可能性があります。この鼻タケが出来ると、治療にさらに時間がかかり(約6ヶ月)、さらに鼻タケが増えると手術をすることもあります。
また、慢性副鼻腔炎になった場合には、風邪をひかないようにする事が大切になってきます。
⑤歯のチェックも定期的に
また、多くはありませんが、虫歯による細菌感染が原因で慢性副鼻腔炎になることもあります。特に上の奥歯が虫歯であったり、歯の治療をした後に副鼻腔炎のような症状が出たときには歯が原因のこともあります。
虫歯がある場合は早めの治療をして、出来たら半年~1年毎に歯の定期健診に行きましょう。
まとめ
- 副鼻腔炎は風邪で体力が落ちたときなどに細菌に感染して起こる炎症のこと。
- 副鼻腔炎になりやすい体質の人もいる。
- 副鼻腔炎になっても授乳は続けられる。
- 受診は耳鼻科や耳鼻咽喉科。
- おさえておきたいポイント5つ
- 薬の希望は医師に伝える。抗生物質は飲みきる。
- 鼻をかむ。
- 鼻洗浄をする。
- 慢性化を防ぐ。
- 定期的に歯のチェックをする。
私も風邪をひいていたにも関わらず、ちゃんと休めなくて急性副鼻腔炎になった事があります。物凄く痛かったです。どんな体勢をとっても不快感があるので、鼻水を出す事と、鼻洗浄をする事をお勧めします。
急性副鼻腔炎は処方されたお薬で治ります。授乳中のお母さんにとっては、熱も出るし、痛いし、と辛い状況だと思います。頼める事は家族に協力してもらいましょう。
早く副鼻腔炎が治って、かわいい赤ちゃんと楽しい日々が過ごせますように!
そしたら、鼻の両側で目の下が押されるような感じがするの。これ、なんだかわかる?