子どもが産まれてから、なくてはならないものとしてチャイルドシートは上位にランクインするでしょう。子育てをする方にはとても身近なアイテムですが、実は安全基準を満たしていないものがネット販売で出回っているのです。
では、そもそもチャイルドシートの安全基準ってどんなものかご存知ですか?
今回は「次世代の安全基準」をご紹介すると共に、つい忘れてしまいがちなチャイルドシートの着用義務の概要を再確認します。また、安全基準を満たしていないチャイルドシートを使用すると、万が一事故に遭ったときに乗っている子どもはどうなってしまうのかなどをお伝えしていきます。
すでにチャイルドシートを使っている方も、これから使う予定の方もぜひ最後までご覧ください!
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チャイルドシートについて本当に知ってる?
チャイルドシートの着用義務
- 幼児(6歳未満の子ども)は着用が義務づけられている
- 一般的にシートベルトは身長140cm以上が適合身長とされている
- 6歳以上であっても、チャイルドシートを使用する場合がある
一般的に大人用のシートベルトは身長が140m以上を目安としています。そのため、6歳以上であっても身長が140cm未満の場合は、大人用のシートベルトが適切に着用できないと判断されるため、引き続きチャイルドシートを使用する必要があります。
自動車の運転者は、幼児用補助装置(幼児を乗車させる際座席ベルトに代わる機能を果たさせるため座席に固定して用いる補助装置であつて、道路運送車両法第三章及びこれに基づく命令の規定に適合し、かつ、幼児の発育の程度に応じた形状を有するものをいう。
以下この項において同じ。)を使用しない幼児を乗車させて自動車を運転してはならない。ただし、疾病のため幼児用補助装置を使用させることが療養上適当でない幼児を乗車させるとき、その他政令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。
引用:警察庁
一 その構造上幼児用補助装置を固定して用いることができない座席において幼児を乗車させるとき(当該座席以外の座席において当該幼児に幼児用補助装置を使用させることができる場合を除く。)。二 運転者席以外の座席の数以上の数の者を乗車させるため乗車させる幼児の数に等しい数の幼児用補助装置のすべてを固定して用いることができない場合において、当該固定して用いることができない幼児用補助装置の数の幼児を乗車させるとき(法第五十七条第一項本文の規定による乗車人員の制限を超えない場合に限る。)。三 負傷又は障害のため幼児用補助装置を使用させることが療養上又は健康保持上適当でない幼児を乗車させるとき。四 著しく肥満していることその他の身体の状態により適切に幼児用補助装置を使用させることができない幼児を乗車させるとき。五 運転者以外の者が授乳その他の日常生活上の世話(幼児用補助装置を使用させたままでは行うことができないものに限る。)を行つている幼児を乗車させるとき。六 道路運送法第三条第一号に掲げる一般旅客自動車運送事業の用に供される自動車の運転者が当該事業に係る旅客である幼児を乗車させるとき。七 道路運送法第八十条第一項ただし書の規定による許可を受けて人の運送の用に供される自動車(特定の者の需要に応じて運送の用に供されるものを除く。)の運転者が当該運送のため幼児を乗車させるとき。八 応急の救護のため医療機関、官公署その他の場所へ緊急に搬送する必要がある幼児を当該搬送のため乗車させるとき。
チャイルドシート着用の現状
チャイルドシートの着用が義務付けられていますが、実際にしっかりと使用しているのは約70%です。シートにそのまま座らせたり、身長が規定より低くても大人用のシートベルトを着用させたりと、チャイルドシートを使用していない家庭がまだまだ多く見られています。
下のグラフは、6歳未満を対象にチャイルドシートの使用状況を調査したものです。(2019年調査結果)
引用:JAF
また、チャイルドシートを使用していてもしっかりと取り付けできておらず、チャイルドシートの役割が果たせていない場合も多いです。そのような状態で万が一事故に遭うと、子どもがシートから放り出されてしまい大変危険です。
おさえておきたい次世代の安全基準
チャイルドシートの従来の安全基準「ECE R44/04」から、さらに安全性を向上させるために新しい規格を取り入れた次世代の安全基準「i-Size(R129)」が2013年7月に導入されました。
ただR44とR129は並行して運用されるので、現在使っているチャイルドシートがどちらかの規定を満たしていれば、買い直す必要はありません。
その1 生後15ヶ月まで後ろ向き装着を義務づけ
- 従来…生後12ヶ月まで
- 次世代…生後15ヶ月まで
さらに、生後15ヶ月を過ぎていても身長が76cm未満の場合は、前向き装着ができません。
後ろ向き装着のメリット
交通事故の発生時、ぶつかった衝撃を受けやすいのは前部が多く、全体の80%を占めています。
引用:Combi
後ろ向き装着なら事故の衝撃を背中の広い面積で受けることになり、衝撃を分散することができます。そのため、体の未熟な赤ちゃんの安全面を高め、しっかり守れるのです。
その2 赤ちゃんの大きさの基準
- 従来…体重基準
- 次世代…身長基準
従来は体重を基準としていましたが、体重が少なくても細身で身長が高い子もいますよね。したがって、次世代の安全基準ではより個人差が少ない身長を大きさの基準とし、体型に合わせてチャイルドシートを使用できるようになっています。
その3 衝撃からの安全性
- 従来…前後からの衝撃
- 次世代…前後の衝撃+ドア側からの衝撃
子どもの頭部・頸部の安全性を高めるために、今までの前方後方からの衝突試験に加えて、側面衝突試験も追加で行われるようになりました。より安心してチャイルドシートを使用することができますね。
その4 ダミー人形
- 従来…試験用新生児ダミー人形に計測センサー なし
- 次世代…試験用新生児ダミー人形に計測センサー あり
引用:Aprica
万が一の事態を想定し、多くのセンサーが付いたダミー人形を使って衝突試験が実施されるようになりました。
計測センサーが追加されたことで、未熟な赤ちゃんの体にかかる負担を想定できるようになり、新生児の赤ちゃんから安心してチャイルドシートを使用できます。
その5 チャイルドシートの固定方法
- 従来…シートベルトで固定
- 次世代… シートベルトを使わずに車の座席に固定(ISOFIX )
チャイルドシートと車の取り付けで一番ミスが多いのは、車とシートベルトの締め付けが弱いことです。ISOFIXとはシートベルトを使用せずに、車の座席部分に付属されている金具とチャイルドシートの金具同士を固定する方法で、しっかり取り付けることができるのです。
ISOFIX対応チャイルドシートの取り付け方はこちらをご覧ください。
未認証チャイルドシートの危険性
国土交通省では、近年インターネット販売で、国の安全基準を満たしていることを示すマークが付いていないチャイルドシート(未認証チャイルドシート)が販売されていることを公表しています。
国交省が2月、ネット上で販売されていた未認証のチャイルドシート7製品を購入して検証。2000~5000円程度で、多くは取扱説明書がなかった。
実験では、時速50キロで走行中に衝突したときの衝撃を加えたところ、固定部品やベルトが破損し、ほとんどのケースで子供に見立てた人形が前方に放り出された。
調査では、未認証チャイルドシートは7製品とも本体の大部分が布製で極端に強度が低く、事故などによる衝撃を吸収する機能がないことが判明した。衝突時に腹部を強く圧迫するなどして大けがをする恐れがあるという。
国土交通省が作成した動画も合わせてご覧ください。
安全基準のマークとは?
2012年7月から日本のチャイルドシートの安全基準が、ヨーロッパの安全基準に合わせた「車両・チャイルドシートの国際調和・安全強化を図ったヨーロッパの安全基準(ECE R44/04)」になりました。
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チャイルドシートで異常があったときは
もし安全基準を満たしているチャイルドシートを説明書通りに使っていても、通常考えられないような不具合が起きたらびっくりしてしまいますよね。
そのような場合は、メーカーに問い合わせることはもちろんですが、「自動車不具合情報ホットライン」にも連絡しましょう。
不具合情報を提供することで、国土交通省がメーカーに対して、適切に製品のリコールを実施しているか監視・指導ができます。
- 設計や製造の段階で問題があったことが原因で、適切に製品を使用・点検しているにも関わらず、法律で定められた安全・環境基準を満たせない、またはその可能性があるものについて、回収・修理を行う
- 回収し修理を行うことで、事故やトラブルを未然に防ぐ
電話でもwebでも情報提供はできるようになっています。もし「おや?」と感じたら、連絡してみてください。
おすすめチャイルドシート
Aprica フラディアグロウISOFIX
フラットな状態でベッドのように使える製品です。新生児を乗せるのに安心ですよね。
Aprica クルリラ
シートベルトとISOFIXの両方で固定が可能です。今後ISOFIX対応車両に買い替えを検討している方におすすめです。
マキシコシ ペブルプラス
ISOFIX固定用のベース「ツーウェイフィックス」は別売りですが、子どもの成長に合わせてシートを交換してベースを使い続けられるようになっています。また、こちらはi-size(アイサイズ)・R129に合格した初めての製品です。
マキシコシ ISOFIX固定方式対応ベース
まとめ
- おさえておきたい次世代の安全基準
- 生後15ヶ月まで後ろ向き装着の義務付け
- 赤ちゃんの大きさの基準
- 衝撃からの安全性(側面衝突試験の追加)
- ダミー人形(計測センサー追加)
- チャイルドシートの固定方法(ISOFIX)
- 2012年7月以降は、安全基準のEマークのついたチャイルドシートしか販売が許可されていない
- 未承認チャイルドシートの危険性を知り、安全基準を満たしたチャイルドシートを使用する
子育てをしていると、車での移動は本当に便利ですよね。我が家も1週間分の食料品を買いだめしたり、テントやシート・着替えなどを持って大きな公園へ遊びに行ったりするので、チャイルドシートはもはや戦友のような存在です。
しかしそのチャイルドシートの使い方が実は間違っていたり、安全基準を満たしていないかも…と考えるとゾッとしますよね。
ご自宅のチャイルドシートは安全に取り付けられているか、古い基準のマークが付いていないかなど、この記事をきっかけに確認し直して頂けたら幸いです。
明日からのチャイルドシート生活がより安全に過ごせますように。