溶連菌感染症という病気、一度は耳にした事がある方も多いのではないでしょうか。
そうです。子供がよく感染するといわれるあの病気です。
「のどが痛い…。」
「舌にブツブツが出来てザラザラする…。」
いざ子供の体調が悪くなったらどうすればいいのか…。
今回はそんなママやパパ達の不安を解消する為、溶連菌感染症について詳しくご説明します!
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溶連菌感染症ってどんな病気?
溶連菌ってなに?
溶連菌(※)感染症 (※正式: 溶血性連鎖球菌) とは、溶連菌と呼ばれる細菌が主にのどや鼻の粘膜に感染する病気です。まれに皮膚に感染する場合もあります。
4歳から12歳までの子供がよく発症する病気といわれていますが、4歳未満の子供や大人でも発症する可能性があります。
溶連菌に感染しているけれど、免疫力が高いおかげで症状が出ないといった健康保菌者であるパターンが大人には多いです。
病気の原因となる細菌や寄生体を体内に保持しながらも、発症が見られず健康体である人の事を指します。しかし、体内には菌を保持し続けているので、他者への感染をもたらす場合があります。
反面、子供だと免疫力が低いので感染するとすぐに発症するリスクが高まるというわけですね。
基本的に一年中感染する恐れがあります。また、溶連菌には様々な種類があるので一度治ったとしても、何度でも感染する可能性があるので十分に注意が必要です。
発症したらどんな症状が出る?
溶連菌感染症は風邪との見極めが重要になってきます。
感染してから3日~5日程度の潜伏期間で、下記のような症状が現れ始めます。
- 発熱(38℃~40℃以上)
- のどの痛み
- のどや首筋(リンパ節)が赤く腫れる
- 腹痛
- 身体、主に手足の発疹
- 苺舌 (いちごじた: 舌に赤いつぶつぶが現れる症状)
- 吐き気
風邪の症状とそっくりですね…。
これらの症状がすべて現れたからといって溶連菌感染症に感染した、というわけではありません。3歳未満の幼児だと熱が上がりにくい事が多いので、他に目立った症状が無いか探しましょう。
個人差はありますが、溶連菌感染症は一般的にあまり鼻水や咳は出ないと言われています。小さな子供だと鼻水はよく出るので、喉の腫れや舌のブツブツを確認した方がいいでしょう。
この特徴を目安に見極められるといいですね。
ちなみに、風邪とインフルエンザも似てるけど違うものですよね。その違いバシッと言えますか?こちらの記事で確認しておきましょう。
悪化するとどうなる?
溶連菌はのどの感染に始まり、皮膚にまで感染する恐れのある細菌です。
発症している事に気付かず、ただの風邪かと安易に放置していると合併症を引き起こすかもしれない恐ろしい感染症です。
合併症に関してはこちらをご覧ください。
経過中、中耳炎・副鼻腔炎(蓄膿症)・蜂窩織炎(ほうかしきえん: 皮下に細菌感染が広がる)を認めることがあります。さらに、最も重大な合併症は、発熱後2~3週間に認められる場合がある腎炎(急性糸球体腎炎)や、リウマチ熱です。
これらは、時として一生の病気となる場合があり、注意が必要です。
単なるのどの痛みや熱が、ここまで重大な病気のきっかけになると思うと、本当に怖いですよね。
合併症を未然に防ぐためにも、早めの病院・診断・治療の3セットが大切になってきます。
気になる感染経路
溶連菌の感染ルートは3通りあります。
- 飛沫感染:感染者の咳やくしゃみに含まれる細菌を吸い込んで感染する
- 接触感染:感染者の粘膜に触れたり、コップなどを介して感染する
- 経口感染:菌が付着した食べ物を食べることで感染する
基本的に溶連菌は咳やくしゃみが出ないとされていますが、物がのどに詰まったりして、咳が出てしまう事もありますよね。
飲み物の回し飲みなど、感染しているかもしれないと思ったら控えた方がいいでしょう。
病院での検査方法
高熱やのどの痛みがあればできる限り早くに病院で診断してもらうのがいいでしょう。溶連菌に関わらず、風邪だと思っても放置してしまっては重大な病気のサインを見逃してしまうかもしれません。
検査はすぐ終わる!
溶連菌に感染しているか確かめるための検査では迅速診断キットというものを医師が使用します。使用方法は至って簡単で、綿棒でのどに付着した細菌を採取し、それを調べるといった流れになります。
迅速キットという名前の通り、5分~10分程度で溶連菌に感染しているか結果が出ます。その診断結果と症状を総合的に見て、医師が判断を行います。体調が悪い時に検査が早く終わるのは本当に助かりますよね。
医師に溶連菌に感染してるとの診断を受けたら、すぐに治療へ移ります。
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病院での治療方法
溶連菌感染症は薬で治る
何度も繰り返す事のある溶連菌感染症ですが、薬を飲んで一週間程度で完治することが多いです。特に悪化する前に治療を始めれば治りもその分早いです。
溶連菌は細菌なので、抗生物質がよく効きます。主に溶連菌の細菌の死滅と合併症を防ぐペニシリン系やセフェム系の薬を処方されますが、ペニシリンアレルギーが見受けられる患者にはマクロライド系の薬が処方されます。
薬には相性があるので、ペニシリンアレルギーの有無に関わらず合わない薬もあります。症状に改善が見られなければ、もう一度病院で違う薬を処方してもらった方がいいでしょう。
赤ちゃんに抗生物質は問題ない?
一般的に4歳未満の赤ちゃんは、溶連菌に感染しているけれど発症する確率の低い健康保菌者である事が多いのですが、発症する可能性が無いとは限りません。
もし感染してしまったら、抗生物質を飲まないと治らないの?と不安になりますよね。
1歳未満の赤ちゃんに抗生物質を長期間投与すると、ぜんそくやアトピー性皮膚炎などのアレルギー発症率が高くなるといわれています。しかし、ペニシリン系の薬は比較的安全とされており、薬もほぼ一週間程度の接種で完治する見込みがあるので、アレルギーを発症する確率は極めて低いといえるでしょう。
それでも万が一、薬を投与している間に赤ちゃんにアレルギー反応が見られた場合には、すぐに薬の投与を中止してください。
溶連菌感染症を防ぐためには
残念ながら溶連菌感染症のワクチンは未だ実用化には至らず、予防接種がありません。
安心してください。溶連菌感染症は日ごろの生活で少し気を付けるだけで簡単に防げてしまうんです!
手洗い・うがい
家の中でももちろん注意は必要ですが、危険なのは外出先です。溶連菌感染者が、電車のつり革だったり階段の手すりだったり、数えきれないほどの色々な場所に触れています。
また、感染者が咳やくしゃみをする事で唾が飛んでいたり、空気中にも溶連菌は潜んでいます。
そんな菌の溢れた外で、家に帰ってきて真っ先にするべきは手洗い・うがいです。もしこれを忘れると、外から持って帰って来た菌を家のあちこちにまき散らしてしまう事になります。
特に丁度1歳児の赤ちゃんはハイハイを覚えている子が多いかと思われます。自由に動けるようになった赤ちゃんは色んな物に興味を示して、あちこちに手を伸ばします。
触れた先に溶連菌が潜んでいたら…。想像すると恐ろしいですよね。
タオルの共有は避ける
手洗い・うがいに続き、同じくらい気を付けなければならないのは物の共有です。とはいっても、溶連菌に感染しているなんて一目で見てすぐには分かりませんし、毎回タオルを変えるのも億劫です。
幼稚園や保育園、小学校や仕事先で溶連菌の感染者がひとりでも見受けられたら、タオルの共有は極力避けて使用した方がいいでしょう。
また、コップの共有や箸の共有なども気を付けてください。
少し面倒ですが、私は家用と外用のタオルハンカチを用意して日ごろ使っています。小さいので洗濯物も増えないし、予防もできるので一石二鳥ですよ!
出来るだけマスクを着用する
マスクを着用すれば、感染者は他の人に菌を移す事を防げますし、非感染者は感染者からの感染を防ぐ事ができます。こちらに関しては感染者も非感染者もお互いに気を付けてほしいところです。
しかし、溶連菌は一年中通して流行ります。一年中マスクを着けて行動するのも無理な話です。実際は着けていれば感染するリスクはぐっと下がるのですが、またこれも面倒ですよね。
マスクは息はこもるし、女性だと化粧が崩れてしまいます。小さな子供だとマスクを長時間着けていると、鬱陶しくなって外してしまう子もいます。
せめて人の密集している場所や施設だけでもマスクを着用するといいでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
最後に、溶連菌感染症について簡単にまとめさせていただきます。
- 風邪と間違えやすい溶連菌は舌のブツブツや肌の小さな発疹で見分けよう!
- 感染経路は飛沫感染・接触感染・経口感染の3つ!
- 抗生物質で治るが、赤ちゃんに与える場合には注意が必要!
- 手洗い・うがいやマスクを怠らなければ感染は未然に防げる!
身体に現れる症状に限らず、子供が「喉が痛い」や「頭がぼーっとする」などの訴えがあれば、早めに病院へ行く事が大切です。風邪だと決めつけて、溶連菌が悪化してしまっては後の祭りです。
加えて、溶連菌感染症はうつる病気です。子供だけに限らず、ママやパパ、周りの人達にも感染するリスクが大いに有り得ます。大人は特に仕事であったりと忙しいので、多少熱が出たとしても放っておきがちです。
薬局の市販薬で治るだろう…。そう勝手に思い込んで、結局フラフラの身体で病院に駆け込んだ時もあります。
今回、私がこの記事を通して一番伝えたかったのは安易に自分で判断せずに医師に頼っていただきたいという事です。
この記事を見て、少しでも知識が蓄えられた!と感じていただければ幸いです。