運転中、ふと子どもの座る後部座席を見ると、すごい角度で首が倒れて寝ていることってありませんか?短時間ならまだしも長時間そのような体勢でいると、首は痛くないのか、また窒息の心配はないのかなど気になって運転に集中できません。
では、そもそもなぜ首カックンは起きるのでしょうか?
その原因がわかれば首カックンの対策ができるかもしれませんね。今回の記事では、おさえておきたい首カックンの防止法と共に、意外と間違っているチャイルドシートの使い方や、使い方が間違った状態で事故に遭うとどんな危険があるのかについても注目してご紹介していきたいと思います。
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首カックンはなぜ起きる?
赤ちゃんの首がカックンとなっていると、一見苦しそうに見えますが、首すわり後の赤ちゃんならば、首カックンが原因で気道が塞がることはありません。
リクライニング機能付きチャイルドシート①前向き取り付け(1歳頃〜)
現在販売されているチャイルドシートの多くは、リクライニング機能付きですが、その角度範囲は約5〜15度と狭い設定になっています。
チャイルドシートを販売しているメーカーが、なぜ角度範囲を広げないのかというと、シートベルト(チャイルドシートの場合は肩ベルト)を適切に機能させるためだからです。
自動車の衝突事故において、乗員がシートやシートベルトの拘束から離脱し、室内に潜り込む現象。乗員がシートベルトを装着していても、シートから抜け出てしまうことがある。
これは、腰ベルトのアンカー位置やシートの構造と相関があるという報告もあるが、乗員の乗車姿勢とシートベルトの装着にもっとも原因があるとされている。
サブマリン現象では、乗員がシートから離れ室内に潜り込むため、乗員を拘束保護するシートベルトやエアバッグの効果が得られず、室内に2次衝突して被害を拡大する。
引用:weblio 国語辞典
こちらの動画では、サブマリン現象が起こるとどのような状態になってしまうのかを紹介しています。命を守るはずのシートベルトが、凶器になっています。助手席に座っているダミー人形にぜひ注目してください。
サブマリン現象では、内臓や首を強く圧迫し大変危険です。この現象は、チャイルドシートやジュニアシートを使用する子どもたちだけではなく、大人にも当てはまります。したがって、車に乗る全ての人たちが気をつけていかなければなりません。
リクライニング機能付きチャイルドシート②後ろ向き取り付け(新生児〜)
後ろ向きでチャイルドシートを取り付ける際に、角度調節ができる製品があります。しかしその角度は前向き取り付けのものと同様に、角度範囲は狭く設定されています。
後ろ向きではサブマリン現象は起こりませんが、車外放出の危険性があるため、角度範囲が決められています。
交通事故による車外放出とはどのようなものでしょうか?この動画ではチャイルドシートに座っていない子どもが、衝突事故に遭ったときにどのような状態になるのかを紹介しています。
車外放出はチャイルドシートやジュニアシートを着用していても、正しい使い方ができていないと起こりうる現象です。後ろ向きチャイルドシートの角度範囲が狭いのは、このような衝突事故の際に、車外に放り出されそうになるのを受け止めるためなのです。
おさえておきたい首カックン防止法
防止法①タオルを活用
新生児のうちは、チャイルドシートの頭やお尻まわりに隙間ができやすく、不安定で心配に感じてしまうものです。そんなときには、頭の周りやお尻の下にタオルを敷き、隙間を埋めてあげましょう。
赤ちゃんは新生児期から3ヶ月頃まで成長のスピードが早いので、どんな体格の赤ちゃんにも適用できるタオルはとても使い勝手がいいアイテムですね。
防止法②首枕を装着
近場のお出かけならばタオルで赤ちゃんの首カックンを防げますが、長距離の移動となるとタオルの形が次第に崩れてしまい、長時間赤ちゃんの首元を守るのが難しくなります。
「チャイルドシート用ネックピロー」として、子どもの首を事故等の衝撃や運転中の揺れから守り、しっかり固定する商品が販売されています。
エールベベ うたたねクッション
軽くてしっかりした作りです。また首をはめる部分はガバッとよく開くので、子どもが寝たあとにも装着しやすくておすすめですよ。
シートベルト ネックピロー
シートベルトに取り付けるタイプのネックピローです。肌触りのいい素材で、子どもの睡眠を優しくサポートします。
ヘッドレスト付きチャイルドシート
ヘッドレストがしっかりとしたチャイルドシートも販売されています。これからチャイルドシートの購入をお考えの方は、このようなタイプのチャイルドシートはいかがでしょうか?
防止法③ヘッドパッドを利用
前向き取り付けのチャイルドシートになると、背もたれを倒すことができないため、睡眠中の首カックンが気になってしまいます。最近ではそんな親の悩みを解消するべく、「ヘッドパッド」という商品が販売されるようになりました。
頭をベルトでサポートするもので、ベルトの調整ができるので、成長段階に合わせて調節しながら使うことができます。
ナップアップライド
ネックパットが首にかかる圧力を分散してくれるので、長距離の移動が快適に過ごせます。取り付けも簡単なので届いたその日から使い始められますよ。
防止法④ベルトの調整
肩ベルト(ジュニアシートの場合はシートベルト)の位置や締め具合が適切でないと、首が前に倒れやすくなります。
- 肩ベルトの位置が低すぎ、または高すぎないか
- 肩ベルトが緩すぎないか
- サポートクッションを使用している場合、赤ちゃんが座席の下にズレすぎていないか
1、ベルトの位置
引用:AILBEBE
肩ベルトの位置が低すぎてしまうと猫背の姿勢になり、首が前に倒れやすくなってしまいます。チャイルドシートの場合は、座ったときの姿勢を正しくすることで、首カックンをある程度防ぐことができます。
「背が伸びたなぁ」と感じたときには、洋服のサイズの見直しと共に、肩ベルトの位置も確認してみましょう。
2、ベルトの締め具合
引用:AILBEBE
「あまりきつくしてはかわいそう」とゆとりを持って肩ベルトを締めてあげたくなってしまいますが、適切な締め具合は子どもの胸と肩ベルトの間に、大人の指が1〜2本入る程度です。それより緩いと、急ブレーキや衝突事故の際に、肩ベルトからスルッと抜け出し大変危険です。
季節に天候によって着ている洋服の厚みに変化がありますので、こまめに締め具合を確認しましょう。
3、サポートクッションを使用している場合
引用:AILBEBE
サポートクッションを使用している場合は、図のように肩ベルトの位置と子どもの肩の位置がずれていたり、肩ベルトが子どもの肩の外側を通っていたりすると適切な姿勢や位置で体が固定されないので、首カックンの原因になります。
長距離の移動になると、だんだんジッとしていられなくなって危ないですよね。そんなときにはこんな記事はいかがでしょうか?すぐにでも試せるアイデアが盛りだくさんです。
防止法⑤安全運転
ブレーキやカーブの運転などでは、子どもの姿勢が崩れてしまいがちですよね。自分で姿勢を立て直せるようになればいいですが、まだそれが難しい月齢の子どもを乗せての運転は、安全運転をより心がけていきましょう。
間違った首カックン対策
- 後ろ向き取り付け用の角度でチャイルドシートを前向きに取り付ける
- 車両シートごとチャイルドシートやジュニアシートを深くリクライニングさせる
- チャイルドシート用ではない市販のネックピローを使用する
市販のネックピローは、新幹線や飛行機での移動時には活躍するアイテムですが、車ではネックピローを使用することで座ったときの正しい姿勢が崩れてしまい、チャイルドシートの安全性にも影響を及ぼす可能性があります。
ネックピローを使用したい場合は、チャイルドシート用のネックピローを使用しましょう。
チャイルドシートの安全基準については、こちらの記事を参考にしてみてください。ご自宅にあるチャイルドシートは、安全基準を満たしているでしょうか?
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実は間違ってる?チャイルドシートの使い方
もしも子どもを抱っこして運転したら?
- 車外に子どもが放り出される
- エアバックと大人の間に挟まり、窒息する
車が衝突事故を起こした場合、どのくらいの衝撃を感じるのでしょうか?例えば、時速40kmで事故を起こしたとすると、車を高さ6m(2階建てビルの高さ相当)から落下させたときと同じ衝撃になります。これが時速60kmだと、その高さは14m(5階建てビルの高さ相当)にもなるのです。
この衝撃を軽減するためにエアバックは搭載されていますが、それはしっかりとシートに着席をしている状態を想定してのことです。
こちらは、時速40kmで走行時、正面衝突の事故に遭うことを想定した動画です。チャイルドシートを使用せず、助手席で大人が抱っこしている赤ちゃんはどうなるのでしょうか?
子どもを膝の上に抱っこしたり、抱っこひもをしたまま運転すると、エアバックに本来求められる衝撃軽減機能が発揮できません。大人にも子どもにも、とても危険であると言えるでしょう。
チャイルドシートの使い方、本当に合ってる?
- 腰ベルト、肩ベルトが緩い
- ベルトのねじれ、よじれ
- 肩ベルトの高さ調節の間違い
- 座席ベルトの通し方の間違い
- チャイルドシートが座席しっかり取り付けられていない
肩ベルトの高さの目安は、後ろ向き取り付けの場合「肩と同じ高さ、または肩より少し下」、前向き取り付けの場合、「肩と同じ高さ、または肩より少し上」で調節して合わせます。
また、肩ベルトのきつさの目安は、子どもの鎖骨と肩ベルトの間に指が1本入る程度です。特に気をつけたいのが、冬場に防寒着を着たままチャイルドシートを使用することです。
もこもことした冬場の防寒着は、一見肩ベルトがしっかりしまっているように見えますが、子どもの体と肩ベルトの間に防寒着があるため、実はゆるゆるな状態なのです。
寒いなと感じる日には、防寒着を着用させるのではなく、ブランケットなどを膝にかけ温めてあげましょう。
プロに取り付け方の点検を
JAFではチャイルドシート取付点検会を行っています。JAFのインストラクターがチャイルドシートを正確に取り付けられているか確認してくれたり、取り付けに関してアドバイスをくれたりします。もし取り付け等で心配な方は、お近くの地域で点検会が実施されているか、調べてみるのもおすすめですよ。
JAFへの各種お問い合わせは、全国共通の総合案内サービスセンターにご連絡ください。
引用:JAF
パパママお助けグッズ
子どもが小さいうちは、運転していても子どもの様子が気になったり、ぐずってもすぐにあやすことができず焦ったりと、ゆったり快適に運転…とはなかなかいかないものです。そこでそんなパパママを助けてくれるグッズをご紹介していきたいと思います。
ベビーミラー
運転中に、後部座席に座っている子どもを何度も振り返って確認するわけにはいかないし、そもそも後ろ向きチャイルドシートだと全然顔が見えない!とお困りの方はいませんか?
こちらは大きめの見やすいミラーで子どもの様子を確認しやすい上に、運転の邪魔にはならないのでおすすめです。
クールパット
暑い時期の必需品です。チャイルドシートでもベビーカーでも使えるので、1つ持っていると便利ですよ。
車載用DVDホルダー
歌を歌ってもだめ、外の景色に気をそらしてもだめ。そんなときはDVDに頼りましょう。ホルダーがあれば、持ち運びができるDVDプレーヤーを車でも楽しめます。
折りたたみテーブル
子どもが車でごはんやおやつを食べるとき、置き場所に困る問題を解決してくれるのがこちらの商品です。下にティッシュケースが付いているところもポイントですね。
まとめ
- 首カックンとは、車のシートなどで座ったまま寝たときに、体が脱力した状態になり、頭の重みで首が前や横に倒れてしまう様子
- おさえておきたい首カックン防止法
- タオルを活用
- 首枕を装着
- ヘッドパッドを利用
- 肩ベルトの調整
- 安全運転
- 間違った首カックン防止策
- 後ろ向き取り付け用の角度でチャイルドシートを前向きに取り付ける
- 車両シートごとチャイルドシートやジュニアシートを深くリクライニングさせる
- チャイルドシート用ではない市販のネックピローを使用する
わたしが子どもの頃、長距離で出かけることが多くよく座ったまま寝ていたのですが、首カックンの状態で寝続け「首が痛い〜!」と起きたあとによく言っていました。大人になった今も首カックンで寝ています。
あの頃は首カックン対策のグッズはなかったので我慢するしかなかったですが、最近ではかわいらしいデザインの対策グッズが多く、使うのが楽しみに思えるほどですね。
ただチャイルドシートに対応していないグッズを使用したり、寝心地がいいからと間違ったチャイルドシートの使い方をしたりすることで、安全性が損なわれ、万が一の事態で大きな危険を伴う可能性があります。
寝心地の良さや快適さとチャイルドシートの安全性はイコールでないことをよく理解した上で、快適に子どもとのカーライフを送っていけたらいいですね。